帝国データバンクが実施した大規模調査により、日本企業の3社に1社がサイバー攻撃を受けた経験があることが明らかになりました。特に注目すべきは、中小企業や小規模企業でのサイバー攻撃リスクが高まっている現状です。
調査結果:企業の32%がサイバー攻撃を経験
全国2万6389社を対象とした調査では、過去にサイバー攻撃を受けたことが「ある」と回答した企業は32.0%に上りました。一方で「ない」が52.4%、「わからない」が15.6%という結果でした。
「わからない」と回答した企業が15.6%もいることは、実際にはより多くの企業がサイバー攻撃を受けている可能性を示唆しています。気づかないうちに攻撃を受けているケースも多いのが現実です。
企業規模別の被害状況
企業規模別に見ると、以下のような傾向が明らかになりました:
- 大企業:41.9% – 全体平均より約10ポイント高い
- 中小企業:30.3%
- 小規模企業:28.1%
大企業ほど攻撃対象となりやすい傾向にありますが、中小企業も決して安全ではありません。むしろ、セキュリティ対策が手薄になりがちな中小企業こそ、より深刻な被害を受けるリスクがあります。
中小企業のリスクが急増中
特に注目すべきは、直近1ヶ月以内にサイバー攻撃を受けた企業の割合です:
- 全体:6.7%
- 中小企業:6.9%
- 小規模企業:7.9%
中小企業や小規模企業では、「1ヶ月以内」の被害率が「1年以内の他の期間」よりも高くなっており、足元でのリスクが急速に高まっていることが分かります。
なぜ中小企業が狙われるのか?
中小企業がサイバー攻撃の標的となりやすい理由として、以下が挙げられます:
- セキュリティ対策が不十分
- セキュリティ担当者の不在
- 古いシステムの使用
- 従業員のセキュリティ意識不足
- 限られた予算でのセキュリティ投資
今すぐできるサイバーセキュリティ対策
1. 信頼性の高いアンチウイルスソフト の導入
最も基本的かつ重要な対策は、信頼性の高いアンチウイルスソフト
の導入です。マルウェアやランサムウェアなどの脅威から企業のデータを守る第一の防御線となります。
2. VPN でネットワーク通信を暗号化
特にリモートワークが増えた現在、VPN
の活用は必須です。公衆Wi-Fiや外部ネットワークからの接続時も、通信内容を暗号化して情報漏洩を防げます。
3. 定期的なセキュリティ教育
従業員への定期的なセキュリティ教育を実施しましょう。フィッシングメールの見分け方や、怪しいリンクをクリックしない習慣づけが重要です。
4. システムの定期更新
OSやソフトウェアのセキュリティパッチは速やかに適用し、常に最新の状態を保ちましょう。古いシステムは攻撃者にとって格好の標的となります。
5. データのバックアップ
万が一ランサムウェア攻撃を受けても業務を継続できるよう、重要なデータは定期的にバックアップを取得しましょう。
まとめ:今こそセキュリティ対策の見直しを
今回の調査結果は、サイバー攻撃が「どこか遠い話」ではなく、すべての企業にとって現実的な脅威であることを示しています。特に中小企業では、直近でのリスクが高まっており、早急な対策が必要です。
「うちは小さな会社だから大丈夫」という考えは危険です。むしろ小規模だからこそ、一度の攻撃で致命的なダメージを受ける可能性があります。信頼性の高いアンチウイルスソフト
とVPN
の導入から始めて、段階的にセキュリティ対策を強化していくことをおすすめします。
一次情報または関連リンク
- https://enterprisezine.jp/news/detail/22201
- 帝国データバンク サイバー攻撃に関するアンケート調査