韓国警察の画期的な24時間ボイスフィッシング対応システムが始動
韓国警察庁が2025年に入って本格的に稼働させた「電気通信金融詐欺統合申告対応センター」の24時間体制運営は、サイバー犯罪対策の新たなマイルストーンとなりそうです。
これまで平日の午前9時から午後10時まで限定されていた相談対応が、ついに年中無休・24時間体制となったのです。相談員も従来の25人から54人へと倍増し、申告・情報提供電話の応対率が50%程度だったのが大幅改善される見込みです。
なぜ24時間対応が必要なのか?
私が企業のセキュリティインシデント対応(CSIRT)で経験してきた中で、ボイスフィッシングや振り込め詐欺は「時間との勝負」であることを痛感しています。
実際の事例を挙げると、ある中小企業の経理担当者が金曜日の夜8時頃にCEOを装った詐欺電話を受け、週末明けまで相談できずに被害が拡大したケースがありました。犯罪者は意図的に夜間や休日を狙ってくるのです。
来月オープン予定の「統合対応団」が変えるもの
さらに注目すべきは、来月ソウル光化門にオープン予定の「電気通信金融詐欺統合対応団」です。
従来システムとの違い
従来のセンターが申告・相談対応に留まっていたのに対し、新しい統合対応団では:
- 犯罪分析の専門化
- 大砲電話・大砲通帳などの犯罪手段遮断
- 事件捜査までの全方位対応
- 全国単位での併合捜査の迅速化
常駐人員も137人と既存の2倍以上に拡大され、金融委員会、科学技術情報通信部、韓国インターネット振興院などとの有機的な協力体系も構築されます。
個人ができるボイスフィッシング対策
韓国の取り組みは素晴らしいですが、日本にいる私たちも同様の脅威にさらされています。フォレンジック調査で見てきた典型的な被害パターンと対策をご紹介します。
よくある被害パターン
パターン1:偽警察官からの電話
「あなたの口座が犯罪に使われています。安全のため別の口座に移してください」
パターン2:金融機関を装った詐欺
「セキュリティ強化のためカード情報を確認させてください」
パターン3:親族を装った緊急詐欺
「事故に遭って病院にいます。すぐにお金が必要です」
効果的な対策方法
- 電話での個人情報提供は絶対にしない
- 相手の身元確認を必ず行う
- 一度電話を切って確認する
- 家族間で合言葉を決めておく
しかし、これだけでは不十分です。デジタル時代の詐欺はより巧妙になっており、個人情報の保護が何より重要になっています。
企業が直面するサイバー詐欺リスク
個人だけでなく、企業もターゲットになります。実際に調査したケースでは:
実例:BEC(ビジネスメール詐欺)事件
ある製造業の企業で、CFOを装ったメールで経理部に緊急送金を指示する詐欺が発生しました。幸いアンチウイルスソフト
によってマルウェアを検知し、被害を防げましたが、一歩間違えば数百万円の損失になるところでした。
情報漏洩からの二次被害
また、Webサイトの脆弱性を突かれて顧客情報が流出し、その情報を使ったボイスフィッシングが多発した事例もあります。このような場合、Webサイト脆弱性診断サービス
による定期的なセキュリティ診断が被害防止に効果的です。
リモートワーク時代の新たなリスク
在宅勤務が普及する中で、VPN
を使わずに公共Wi-Fiで業務を行い、通信内容を盗聴されるケースも増えています。盗聴された情報が詐欺に悪用される可能性もあるのです。
テレワーク環境でのセキュリティ対策
- 信頼できるVPN
の使用
- 強固なアンチウイルスソフト
の導入
- 定期的なパスワード変更
- 多要素認証の活用
今後の詐欺手法の進化と対策
AI技術の発達により、音声合成技術を使った「ディープフェイク音声」による詐欺も出現しています。家族の声を完璧に再現して詐欺を行う手法です。
このような新しい脅威に対抗するには:
- 技術的な対策:最新のアンチウイルスソフト
による保護
- 教育・啓蒙:社内研修の実施
- 体制整備:緊急時の対応フローの確立
まとめ:総合的なサイバー詐欺対策の重要性
韓国警察の24時間対応システムは画期的ですが、重要なのは被害に遭う前の「予防」です。
個人・企業問わず、今日からできる対策を始めましょう:
- 信頼性の高いアンチウイルスソフト
の導入
- 安全な通信のためのVPN
の活用
- 企業サイトのWebサイト脆弱性診断サービス
による定期診断
- 社内教育の徹底
サイバー犯罪は日々進化していますが、適切な対策を講じることで被害は確実に防げます。「まさか自分が」と思わず、今すぐ行動を起こすことが大切です。