Googleが6月17日にリリースしたChrome最新版(137.0.7151.119/.120)では、セキュリティ専門家が「高危険度」と評価する深刻な脆弱性が修正されました。これらの脆弱性は、悪用されると攻撃者がユーザーのパソコン上で不正なプログラムを実行できる可能性があり、個人情報の漏洩や金融被害につながる恐れがあります。
修正された重大な脆弱性の詳細
CVE-2025-6191:JavaScriptエンジンV8の整数オーバーフロー
この脆弱性は、ChromeのJavaScriptエンジン「V8」で発生する整数オーバーフローの問題です。攻撃者が巧妙に作成したWebページを通じて、メモリ操作を悪用し、最終的にユーザーのコンピューター上で任意のコードを実行できる可能性があります。
発見者のShaheen Fazim氏には報奨金7,000ドル(約100万円)が支払われており、その深刻さがうかがえます。
CVE-2025-6192:Profilerのメモリ解放後使用(Use-After-Free)
パフォーマンス解析ツール「Profiler」に存在していたこの脆弱性は、すでに解放されたメモリ領域を参照することで発生します。この問題により、メモリ汚染が引き起こされ、攻撃者がブラウザ上で不正なプログラムを実行する危険性があります。
報告者のChaosyuan Peng氏には4,000ドル(約57万円)の報奨金が支払われています。
なぜ今すぐ更新が必要なのか
これらの脆弱性は、悪意のあるWebサイトを閲覧するだけで悪用される可能性があります。特に以下のようなリスクが考えられます:
- 個人情報の窃取:保存されたパスワードやクレジットカード情報の漏洩
- マルウェア感染:ランサムウェアなど悪意のあるソフトウェアのインストール
- 金融被害:オンラインバンキングの不正利用
- プライバシー侵害:閲覧履歴や個人データの不正収集
Chrome更新の確認方法
以下の手順でChromeが最新版に更新されているか確認してください:
- Chromeを開き、右上の三点メニューをクリック
- 「ヘルプ」→「Google Chromeについて」を選択
- 自動的に更新チェックが実行されます
- 「Google Chrome は最新版です」と表示されればOK
- 更新が必要な場合は、指示に従って再起動してください
包括的なセキュリティ対策の重要性
ブラウザの更新だけでは完全なセキュリティは確保できません。現代のサイバー脅威に対抗するには、多層防御が不可欠です。
信頼性の高いアンチウイルスソフトを導入することで、マルウェアや不正なWebサイトからリアルタイムで保護できます。特に、ゼロデイ攻撃や未知の脅威に対する検出能力が重要になっています。
また、公共Wi-Fiを利用する機会が多い方には、VPNサービスの利用を強く推奨します。通信の暗号化により、ハッカーによる盗聴や中間者攻撃から個人情報を守ることができます。
その他の推奨セキュリティ対策
- 定期的なパスワード変更:強力で一意なパスワードの使用
- 二段階認証の有効化:可能な限りすべてのアカウントで設定
- OSとソフトウェアの自動更新:セキュリティパッチの迅速な適用
- 怪しいリンクのクリック回避:フィッシング攻撃への警戒
- 定期的なデータバックアップ:ランサムウェア対策として重要
まとめ
今回のChrome脆弱性修正は、Web セキュリティの重要性を改めて示すものです。ブラウザの更新は最低限の対策であり、より堅牢なセキュリティ環境を構築するには、信頼できるアンチウイルスソフトとVPNサービスの併用が効果的です。
サイバー攻撃の手法は日々巧妙化しており、「自分は大丈夫」という油断は禁物です。今すぐChromeを最新版に更新し、包括的なセキュリティ対策を検討することをお勧めします。