企業の見えないリスクを可視化!ASMツールの日英対応が示すサイバーセキュリティの新潮流

皆さん、こんにちは。現役のフォレンジックアナリストとして日々サイバー攻撃の現場を見ている私から、今回は企業のセキュリティ対策において極めて重要な話題をお届けします。

2025年6月30日、GMOサイバーセキュリティ byイエラエが提供するアタックサーフェスマネジメント(ASM)ツール「GMOサイバー攻撃 ネットde診断 ASM」が日英バイリンガル対応を開始しました。一見すると単なる機能追加のように思えるかもしれませんが、実はこれ、現代企業が抱える深刻なセキュリティ課題を如実に表している出来事なんです。

見えない脅威が一番危険!実際のサイバー攻撃事例から学ぶ

私がこれまで対応してきた案件の中で、特に印象に残っているのは、ある中小製造業での事例です。この会社では、従業員が「ちょっとしたテスト用」として設置した開発サーバーが、管理部門に報告されることなく長期間運用されていました。

そのサーバーには最新のセキュリティパッチが適用されておらず、結果的にランサムウェア攻撃の侵入口となってしまったのです。攻撃者は約3週間かけてネットワーク内を横展開し、最終的に基幹システムまで到達。復旧には1ヶ月以上を要し、損失額は数千万円に上りました。

この事例で最も問題だったのは、「攻撃対象となりうる資産を把握できていなかった」ということ。まさにアタックサーフェスマネジメント(ASM)の重要性を物語る典型例と言えるでしょう。

アタックサーフェスマネジメント(ASM)とは何か?

ASMとは、インターネットに公開されているサーバーやネットワーク機器などのIT資産情報を収集・分析し、不正侵入の経路となりうる脆弱性やリスクを検出・評価する取り組みのことです。

従来のセキュリティ対策が「城壁を高くする」アプローチだとすれば、ASMは「城壁のどこに穴が開いているかを常に監視する」アプローチと言えます。

グローバル企業が直面する言語の壁

今回のGMOサイバーセキュリティの日英対応は、実に実用的な改善です。私が関わったある日系グローバル企業では、日本のセキュリティチームが海外拠点に脆弱性対応を依頼する際、毎回技術文書の翻訳に数日を要していました。

その間にも脆弱性は放置され、攻撃リスクは高まり続けます。実際、翻訳待ちの期間中に別の海外拠点でサイバー攻撃が発生し、「もし即座に対応できていれば防げたかもしれない」という苦い経験をした企業もあります。

個人や中小企業も他人事ではない現実

「うちは小さな会社だから大丈夫」と思っている経営者の方も多いのですが、これは大きな誤解です。私が対応した事例の中には、従業員10人程度の小さな会社が標的となったケースも数多くあります。

ある設計事務所では、CADソフトを動かすためにやや古いWindowsマシンをインターネットに接続していたところ、そこから侵入され、顧客の設計図面が全て暗号化されてしまいました。復旧には専門業者への依頼費用として200万円以上がかかり、さらに顧客への賠償問題も発生しました。

個人でもできる基本的な対策

企業向けのASMツールは高度ですが、個人や小規模事業者でも基本的な対策は可能です。

まず重要なのは、アンチウイルスソフト 0の導入です。多くの攻撃は既知の脆弱性を狙ってくるため、リアルタイムでの脅威検知と駆除機能は必須と言えるでしょう。

また、リモートワークが普及した現在、VPN 0の活用も極めて重要になっています。公衆Wi-Fiの利用時や、海外とのやり取りが多い企業では、通信の暗号化による情報漏洩防止が不可欠です。

経済産業省の戦略が示す日本の現状

記事中で触れられている経済産業省の「サイバーセキュリティ産業振興戦略」は、日本の危機的状況を表しています。現在、国内で使用されているサイバーセキュリティ製品の多くが海外製であり、これは有事の際の対応能力に大きな懸念をもたらします。

GMOサイバーセキュリティのような国産ツールの発展は、単なる企業の成長を超えて、国家安全保障の観点からも重要な意味を持つのです。

フォレンジック調査から見える攻撃の巧妙化

最近の攻撃者は非常に巧妙になっており、侵入から実際の被害発生まで数ヶ月かけるケースも珍しくありません。この間、攻撃者は標的組織のネットワーク構成を詳細に調査し、最も効果的な攻撃手法を検討します。

ある金融関連企業では、攻撃者が約4ヶ月かけてシステムの弱点を調査し、最終的に数億円規模の不正送金を実行しました。この間、従来のセキュリティ対策では検知できない潜伏活動が続いていたのです。

このような高度な攻撃に対抗するためには、継続的な監視と脆弱性管理が不可欠。ASMツールのような能動的な対策ツールの重要性がここにあります。

中小企業向けの現実的な対策

大企業向けのASMツールは確かに高機能ですが、中小企業には導入コストが負担になる場合があります。そんな場合でも、段階的な対策は可能です。

まずは基本的なアンチウイルスソフト 0で社内のエンドポイントを保護し、従業員の外部アクセスにはVPN 0を活用する。これだけでも、多くの一般的な攻撃から身を守ることができます。

さらに、定期的なシステムの棚卸しと脆弱性チェックを外部業者に依頼することで、ASMに近い効果を得ることも可能です。

今後の展望と企業が取るべき行動

GMOサイバーセキュリティのツールが海外展開を視野に入れているように、サイバーセキュリティは既に国境を越えた戦いになっています。攻撃者は世界中から日本企業を狙っており、防御側も国際的な視点での対策が求められます。

企業規模に関わらず、以下の点を今すぐ検討することをお勧めします:

1. 自社のIT資産の完全な把握
2. インターネットに接続されている機器の定期的なセキュリティチェック
3. 従業員のセキュリティ意識向上のための教育
4. インシデント発生時の対応計画の策定

個人ユーザーができる具体的な対策

企業だけでなく、個人ユーザーも標的となる時代です。在宅勤務の普及により、個人のパソコンが企業ネットワークへの侵入口となるケースも増えています。

高品質なアンチウイルスソフト 0による常時保護と、信頼できるVPN 0サービスによる通信の暗号化は、もはや「あったら良い」ものではなく「なければ危険」なツールと言えるでしょう。

特に、フリーランスや小規模事業者の方は、クライアント企業のネットワークに接続する機会も多いため、セキュリティ対策の不備が取引関係に影響する可能性もあります。

サイバーセキュリティの世界は日々進化していますが、基本的な対策を確実に実行することが最も重要です。ASMツールの進化を見守りつつ、自分に適したレベルでの対策を継続していきましょう。

攻撃者は常に新しい手法を模索していますが、私たちも新しい防御技術を活用して、デジタル社会での安全を確保していきましょう。

一次情報または関連リンク

GMOサイバーセキュリティ byイエラエ、ASMツール「GMOサイバー攻撃 ネットde診断 ASM」が日英バイリンガル対応を開始
経済産業省「サイバーセキュリティ産業振興戦略」
GMOサイバーセキュリティ byイエラエ株式会社

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