証券口座への不正アクセス事件が急増中!その深刻な実態
2025年に入って証券業界を震撼させているのが、証券口座への不正アクセス事件の急増です。金融庁が公表した数字を見ると、その深刻さが一目瞭然です。
2025年1月からの累計被害状況:
- 不正アクセス件数:12,758件
- 実際に不正取引が行われた件数:7,139件
- 被害率:約56%(アクセスされた口座の半数以上で実際に取引が行われた)
これは氷山の一角にすぎません。各証券会社から報告されたものだけでこの数字ですから、実際の被害はさらに深刻だと考えられます。
現場で見た証券口座不正アクセスの実態
私がフォレンジック調査で関わった事例では、ある個人投資家の方が朝起きて証券口座をチェックしたところ、身に覚えのない取引が複数回実行されていました。被害額は約200万円。犯人は深夜の時間帯を狙って、保有していた優良株を売却し、その資金で値動きの激しい銘柄を購入していたのです。
証券口座を狙うサイバー攻撃の手口
1. パスワードリスト攻撃
最も多いのがパスワードリスト攻撃です。過去の情報漏洩事件で流出したメールアドレスとパスワードの組み合わせを使って、証券口座への不正ログインを試みます。
実際の被害事例:
中小企業の経営者の方が、10年前に利用していたサービスから流出したパスワードを証券口座でも使い回していたため、不正アクセスの被害に遭いました。犯人は保有株式を売却し、約500万円の損失を与えました。
2. フィッシング詐欺
証券会社を装った偽メールやSMSを送信し、偽のログインページに誘導してログイン情報を盗み取る手口です。
3. マルウェア感染
パソコンにマルウェアを感染させ、証券口座のログイン情報を盗み取る手口も確認されています。
個人投資家が今すぐ実践すべき対策
1. 多要素認証(MFA)の必須設定
証券会社各社も多要素認証の導入を進めていますが、まだ設定していない方は今すぐ設定してください。パスワードだけでは不十分です。
2. パスワード管理の徹底
- 証券口座専用の強力なパスワードを設定
- 他のサービスとの使い回しは絶対に避ける
- 定期的なパスワード変更
3. セキュリティソフトの導入
パソコンやスマートフォンには必ずアンチウイルスソフト
を導入してください。マルウェア感染によるログイン情報の盗取を防ぐことができます。
4. 公衆Wi-Fiでの取引禁止
カフェやホテルなどの公衆Wi-Fiでは証券取引を行わないでください。どうしても外出先で取引が必要な場合は、VPN
を使用して通信を暗号化しましょう。
5. 定期的な取引履歴の確認
少なくとも週1回は取引履歴を確認し、身に覚えのない取引がないかチェックしてください。
企業が取るべき対策
1. 従業員教育の実施
従業員の個人投資口座が狙われることで、企業情報が漏洩するリスクもあります。定期的なセキュリティ教育を実施しましょう。
2. 業務用パソコンでの私的利用禁止
業務用パソコンでの証券取引は禁止し、私的利用のポリシーを明確化してください。
3. セキュリティ対策の強化
企業のWebサイトが攻撃者に悪用されるケースもあります。Webサイト脆弱性診断サービス
で定期的にセキュリティ診断を実施し、脆弱性を早期発見・修正しましょう。
証券口座不正アクセスの被害に遭った場合の対処法
1. 即座に証券会社に連絡
不正取引を発見したら、すぐに証券会社のサポートセンターに連絡してください。迅速な対応が被害の拡大を防ぎます。
2. パスワードの変更
証券口座だけでなく、同じパスワードを使用している他のサービスも含めて、すべてのパスワードを変更してください。
3. 警察への届出
不正アクセスは犯罪行為です。最寄りの警察署またはサイバー犯罪相談窓口に相談しましょう。
4. フォレンジック調査の検討
被害が深刻な場合は、専門のフォレンジック調査会社に依頼して、攻撃の手口や被害の全容を明らかにすることも重要です。
今後の見通しと対策の重要性
証券口座への不正アクセス事件は、今後も継続的に発生すると予測されます。特に以下の理由から、より巧妙な攻撃が増加する可能性があります:
- AI技術を悪用したフィッシング攻撃の高度化
- 個人情報の流出事件の増加
- 投資ブームに便乗した攻撃の多様化
継続的な対策の重要性
セキュリティ対策は一度設定すれば終わりではありません。定期的な見直しと改善が必要です。
月次チェックリスト:
- 取引履歴の確認
- パスワード変更の検討
- アンチウイルスソフト
の更新状況確認
- 多要素認証の設定確認
まとめ:今すぐできる対策から始めよう
証券口座への不正アクセスは、もはや他人事ではありません。2025年だけで既に12,758件の被害が報告されており、この数字は今後も増加する可能性が高いです。
今日から実践できる対策:
- 多要素認証の設定
- 強力なパスワードへの変更
- アンチウイルスソフト
の導入
- 取引履歴の定期確認
- 公衆Wi-Fi利用時のVPN
使用
完璧なセキュリティは存在しませんが、基本的な対策を確実に実施することで、リスクを大幅に減らすことができます。大切な資産を守るため、今すぐ行動を起こしましょう。
企業の方は、従業員のセキュリティ意識向上と併せて、Webサイト脆弱性診断サービス
による定期的なセキュリティ診断の実施をお勧めします。