Scattered Spiderに狙われる企業の共通点とは?現役CSIRTが教える効果的な対策法

Scattered Spiderの恐るべき実態

CyberCubeの最新報告によると、サイバー犯罪グループ「Scattered Spider」が約300社もの大手企業を攻撃対象としており、その中には日本企業も含まれています。私が現役CSIRTとして数々のインシデント対応を行ってきた中でも、この脅威グループの手口は特に巧妙で危険度が高いと言えるでしょう。

年商5億ドル超の企業287社が攻撃リスクにさらされているという事実は、決して軽視できません。これは該当企業全体のわずか2%に過ぎませんが、標的となった企業の共通点を分析すると、非常に興味深いパターンが見えてきます。

攻撃の標的となる企業の危険な共通点

Scattered Spiderに狙われやすい企業には、明確な共通点があります。それは「特定の技術やツールを少なくとも3つ使用している」という点です。

実際に私が対応したケースでは、ある中小企業がリモートワーク用のツールとクラウドサービスを複数組み合わせて使用していたところ、それらのツール間の連携部分を狙われ、重要なデータが暗号化される被害に遭いました。幸い、事前に適切なバックアップとセキュリティ対策を講じていたため、被害を最小限に抑えることができましたが、対策が不十分だった場合の被害は計り知れなかったでしょう。

狙われやすい業務ツール・技術の特徴

フォレンジック調査の経験から言えることは、以下のような特徴を持つツールや技術が特に標的となりやすいということです:

  • 複数のシステム間で連携機能を持つツール
  • 管理者権限で動作するアプリケーション
  • 外部ネットワークとの通信を行うサービス
  • 認証情報を複数システム間で共有する仕組み

現役CSIRTが見た実際の被害事例

事例1:製造業A社のケース

A社では、生産管理システムとクラウドストレージ、リモートアクセスツールを連携させて効率化を図っていました。しかし、この連携部分のセキュリティ設定に不備があり、Scattered Spiderと同様の手口で攻撃を受けました。

攻撃者は最初にリモートアクセスツールの脆弱性を突いて侵入し、その後システム間の信頼関係を悪用して重要な設計データにアクセス。最終的には身代金要求まで発展しました。

事例2:金融関連B社のケース

B社では、顧客管理システムと会計ソフト、外部決済サービスを連携させていましたが、各システムのセキュリティレベルにばらつきがあったため、最も脆弱な部分から侵入を許してしまいました。

幸い、早期発見により大きな被害は免れましたが、フォレンジック調査の結果、攻撃者が長期間にわたってシステム内に潜伏していたことが判明しました。

効果的な対策方法

1. 多層防御の構築

単一のセキュリティ対策に頼るのではなく、複数の防御策を組み合わせることが重要です。特に、アンチウイルスソフト 0による端末保護は基本中の基本。最新の脅威に対応できる製品を選択しましょう。

2. ネットワーク通信の暗号化

業務で外部ネットワークにアクセスする際は、VPN 0を使用して通信を暗号化することを強く推奨します。特にリモートワーク環境では必須の対策です。

3. 定期的な脆弱性診断

使用しているシステムやWebサイトに脆弱性がないかを定期的にチェックすることが重要です。Webサイト脆弱性診断サービス 0を活用することで、攻撃者に狙われる前に問題を発見・修正できます。

4. インシデント対応体制の整備

万が一攻撃を受けた場合に備えて、迅速な対応ができる体制を整えておくことが重要です。私の経験では、初動対応の早さが被害の拡大を防ぐ最も重要な要素となります。

個人ユーザーも油断は禁物

Scattered Spiderのような脅威グループは、企業だけでなく個人ユーザーも標的にします。特に在宅勤務が増えた現在、個人のデバイスから企業ネットワークへの侵入を試みるケースも増加しています。

個人レベルでできる対策として、以下を徹底しましょう:

  • 定期的なソフトウェアアップデート
  • 強固なパスワードの設定と多要素認証の利用
  • 不審なメールやリンクの開封を避ける
  • セキュリティソフトの導入と最新状態の維持

まとめ:プロアクティブな対策が鍵

Scattered Spiderのような高度な脅威グループに対抗するには、受動的な対策だけでは不十分です。常に最新の脅威情報を収集し、自社の環境に合わせた包括的なセキュリティ対策を講じることが重要です。

特に複数のツールや技術を組み合わせて使用している企業は、それらの連携部分におけるセキュリティリスクを十分に評価し、適切な対策を講じる必要があります。

現在使用している業務ツールや技術が攻撃者の標的となっていないか、この機会に改めて見直してみることをお勧めします。

一次情報または関連リンク

使ってるだけで標的に? サイバー攻撃者が狙う”危険な業務ツール”とは – ITmedia

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