中小企業こそ狙われる!ランサムウェア被害の6割が中小企業の現実と最低限の対策

最近、私のところにも中小企業からのサイバー攻撃被害の相談が急増しています。「うちみたいな小さな会社が狙われるはずない」という認識が、実は最も危険な思い込みなんです。

実際の数字を見ると衝撃的です。ランサムウェアによる被害のうち、なんと6割超が中小企業なんです。これは決して偶然ではありません。

なぜ中小企業が狙われるのか?

フォレンジック調査をしていて痛感するのは、攻撃者は「セキュリティの穴」を狙い撃ちしてくることです。大企業は潤沢な予算でセキュリティ対策を行っているため、攻撃者にとってはハードルが高い。一方で中小企業は:

  • セキュリティ予算が限られている
  • 専門知識を持つ人材がいない
  • 「規模が小さいから大丈夫」という油断がある
  • 取引先の大企業へのアクセス権を持っている(サプライチェーン攻撃の踏み台)

これらの要因が重なって、中小企業は格好の標的となってしまうのです。

実際の被害事例から見る深刻さ

私が関わった事例の中で、特に印象的だったのは従業員20名程度の製造業の会社でした。ある朝出社すると、すべてのパソコンの画面に身代金要求メッセージが表示されていたのです。

この会社では:

  • 過去10年分の設計データが暗号化された
  • 顧客情報約5,000件が流出の可能性
  • 復旧まで3週間、その間業務完全停止
  • 結果的に売上の約30%を失った

「まさか自分たちが」という思いが強かった経営者の顔は、今でも忘れられません。

最低限必要な対策とは

では、予算の限られた中小企業はどこから手をつければいいのでしょうか?情報処理推進機構(IPA)が推奨している「セキュリティアクション」制度は、非常に実用的な指針となります。

1. 基本的なセキュリティ対策(一つ星レベル)

まずは基本中の基本から:

  • アンチウイルスソフト 0の導入:リアルタイム保護とスケジュールスキャンの設定
  • パスワード管理の強化:12文字以上の複雑なパスワードと定期変更
  • OSとソフトウェアの定期更新:自動更新の有効化
  • データ共有設定の見直し:不要なアクセス権限の削除

2. 通信の保護

テレワークが増えた今、通信経路の保護は必須です。特に重要なのがVPN 0の導入です。これにより:

  • 外部からの通信を暗号化
  • フリーWi-Fiでも安全な通信が可能
  • 地理的制限を回避した業務継続

3. Webサイトの脆弱性対策

自社Webサイトを持つ企業なら、Webサイト脆弱性診断サービス 0は投資対効果の高い対策です。攻撃者は企業のWebサイトを侵入口として利用することが多いためです。

経営的メリットを考える

セキュリティ対策は「コスト」ではなく「投資」として考えるべきです。実際に:

  • 大手企業との取引条件にセキュリティ対策が含まれるケースが増加
  • 補助金申請時の加点要件になることが多い
  • 顧客からの信頼獲得につながる
  • 業務効率化にも寄与

月1万円以下で導入可能なセキュリティサービスも増えており、初期投資を抑えながら段階的に対策レベルを上げることができます。

業界団体の取り組みも参考に

自動車業界では、日本自動車工業会と日本自動車部品工業会が独自のガイドラインを策定し、153項目の中から特に重要な19項目を優先対策として公表しています。

このような業界標準を参考にしながら、自社の業種・業態に合わせた対策を選択することが重要です。

まとめ:今すぐできることから始めよう

サイバー攻撃は「いつか起こるかもしれない」リスクではなく、「いつ起こってもおかしくない」現実的な脅威です。特に中小企業は攻撃者にとって狙いやすいターゲットであることを認識する必要があります。

完璧な対策は難しくても、基本的な対策を確実に実施することで、多くの攻撃を防ぐことができます。まずはアンチウイルスソフト 0VPN 0の導入から始めて、段階的に対策レベルを向上させていきましょう。

「うちは大丈夫」という油断が最大のリスクです。今日からできる対策を一つずつ実施していくことが、会社と従業員、そして顧客を守る第一歩となります。

一次情報または関連リンク

サイバー犯罪、中小企業が標的 ランサム被害6割超 対策遅れ、供給網に影響 – 毎日新聞

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