イラン全土でほぼ完全なインターネット遮断が発生
2025年6月18日、イラン政府は同国全土で大規模なインターネット制限措置を実施しました。イラン当局は当初、これを「対象を絞った制限」と説明していましたが、実際にはインターネット監視機関NetBlocksが「ほぼ完全なインターネット遮断」と表現するほど広範囲に及ぶものでした。
この措置は、親イスラエル派ハッカーグループ「Predatory Sparrow」による相次ぐサイバー攻撃への対応として実施されたとされています。国家レベルでのインターネット遮断は、サイバー攻撃への対処手段として極端な措置といえるでしょう。
セパ銀行攻撃からNobitex暗号資産取引所へ
今回の一連の攻撃は、まずイラン国営セパ銀行への攻撃から始まりました。この攻撃により、全国のATMが広範囲にわたって停止し、口座へのアクセス、引き出し、カード決済に深刻な影響が生じました。
さらに18日には、イラン最大の暗号資産取引所Nobitexが標的となりました。攻撃者はホットウォレットから約9000万ドル相当のデジタル資産を盗み出し、その後、これらの資金を「誰にもアクセスできないウォレット」に送金することで事実上流通から除外しました。
Predatory Sparrowの攻撃手法と動機
「Predatory Sparrow」(ペルシャ語名:Gonjeshke Darande)は2021年に初めて確認された親イスラエル派のハッカーグループです。今回Nobitexを標的にした理由について、同グループは「イラン政権にテロ資金を提供し、国際制裁の回避を企てた疑いがあるため」と説明しています。
このような政治的動機を持つサイバー攻撃は、個人や企業にとっても重要な教訓となります。地政学的リスクが高まる中、適切なセキュリティ対策の重要性が改めて浮き彫りになりました。
個人ユーザーが取るべきセキュリティ対策
今回のような大規模なサイバー攻撃事例から、個人ユーザーが学ぶべき教訓があります:
- 多層防御の重要性:信頼性の高いアンチウイルスソフト
を導入し、定期的なアップデートを心がける
- ネットワークセキュリティ:VPN
を活用して通信を暗号化し、プライバシーを保護する
- 資産の分散管理:すべての資産を一箇所に集中させない
- 定期的なバックアップ:重要なデータは複数の場所に保管する
暗号資産取引所利用時の注意点
今回のNobitex攻撃は、暗号資産取引所のセキュリティリスクを改めて示しました。取引所を利用する際は以下の点に注意が必要です:
- 信頼性の高い取引所を選択する
- 大量の資金を取引所に長期間預けない
- 二要素認証を必ず設定する
- 定期的にセキュリティ設定を見直す
インターネット遮断が示すサイバーセキュリティの課題
イラン政府による大規模なインターネット遮断は、サイバー攻撃への対処として極端な措置でした。固定電話の国際通話制限、海外Webサイトへのアクセス遮断、当局者によるインターネット接続機器使用禁止など、社会全体に大きな影響を与えました。
このような事態は、適切なサイバーセキュリティ対策の重要性を物語っています。事前の備えがあれば、このような極端な措置を取る必要性を減らすことができるでしょう。
まとめ
今回のイラン国内での一連の事件は、現代のサイバーセキュリティ環境の複雑さを示しています。政治的動機を持つハッカーグループによる攻撃、それに対する政府の極端な対応、そして一般市民への広範囲な影響など、様々な要素が絡み合っています。
個人レベルでできることは限られていますが、適切なセキュリティツールの活用と基本的な対策の徹底により、リスクを最小限に抑えることが可能です。特にアンチウイルスソフト
とVPN
の組み合わせは、多層防御の基本として重要な役割を果たします。
一次情報または関連リンク
- https://codebook.machinarecord.com/threatreport/silobreaker-cyber-alert/39429/
- The Record – サイバーセキュリティニュース
- TechCrunch – テクノロジーニュース
- NetBlocks – インターネット監視機関
- Cloudflare Radar – ネットワーク分析
- Elliptic – ブロックチェーン分析