富山県警察本部から発表されたデータによると、2025年上半期(1月〜6月)のサイバー犯罪相談件数が1064件となり、前年同期比で60件(6%)の増加を記録しました。特に注目すべきは不正アクセスに関する相談が142件と、前年比21%も急増している点です。
急増するサイバー犯罪の内訳と実態
富山県内で報告されたサイバー犯罪の内訳を見ると、深刻な傾向が浮き彫りになります:
- 詐欺・悪質商法:509件(全体の約48%)
- 不正アクセス:142件(前年比21%増)
- クレジットカード被害:135件
私がフォレンジック調査で実際に扱った事例でも、特にSNSアカウントの乗っ取りによる二次被害が深刻化しています。富山県内でも「SNSアカウントが乗っ取られ、知人に金銭を要求するメッセージが勝手に送信された」「ゲームのアイテムを勝手に購入された」といった相談が急増しているのは、全国的な傾向と一致しています。
実際のフォレンジック事例から見る被害の深刻さ
先月、富山県内の中小企業で発生した事例をご紹介します(詳細は匿名化)。従業員のSNSアカウントが乗っ取られ、取引先に偽の請求書を送信されるという被害が発生しました。幸い金銭被害は免れましたが、信頼関係の修復に数ヶ月を要し、ビジネスへの影響は計り知れませんでした。
このようなケースでは、デジタルフォレンジック調査により攻撃経路を特定し、再発防止策を講じることが重要です。調査の結果、パスワードの使い回しが原因であることが判明し、全社的なセキュリティ教育の実施に至りました。
個人ができる即効性のあるセキュリティ対策
1. 強固なパスワード管理の徹底
富山県警が呼びかけている通り、「他人に推測されにくいパスワード」の設定は基本中の基本です。しかし、現役のCSIRTメンバーとして強調したいのは、以下の点です:
- 12文字以上の英数字記号の組み合わせ
- 辞書に載っている単語の使用を避ける
- 各サービスで異なるパスワードを設定
- 定期的な変更(3ヶ月に1回程度)
2. 二要素認証の必須導入
SNSやゲームアカウントの乗っ取り被害を防ぐ最も効果的な方法は、二要素認証(2FA)の設定です。SMS認証よりも、認証アプリを使用することをお勧めします。
3. 総合的なセキュリティソフトの活用
個人のデバイスを包括的に保護するために、信頼性の高いアンチウイルスソフト
の導入は必須です。リアルタイムでの脅威検出機能により、フィッシング攻撃やマルウェア感染を事前に防ぐことができます。
企業が実践すべき高度なセキュリティ対策
1. Webサイトの脆弱性対策
企業のWebサイトは攻撃者の格好の標的です。定期的な脆弱性診断により、セキュリティホールを事前に発見・修正することが重要です。専門的なWebサイト脆弱性診断サービス
を活用することで、企業の信頼性を維持しながらビジネスを継続できます。
2. リモートアクセスの安全確保
テレワークが普及した現在、社外からの安全なアクセス環境の構築は企業の責務です。信頼性の高いVPN
を導入することで、通信の暗号化と匿名性を確保し、不正アクセスのリスクを大幅に軽減できます。
今後のサイバー脅威の動向と対策
私のフォレンジック経験から予測すると、今後も以下の傾向が続くと考えられます:
- AI技術を悪用したより巧妙な詐欺手法の登場
- IoT機器を標的とした攻撃の増加
- ランサムウェア攻撃の中小企業への拡大
これらの脅威に対抗するためには、技術的対策だけでなく、継続的なセキュリティ教育と意識向上が不可欠です。
まとめ:今すぐ行動を起こそう
富山県内でのサイバー犯罪相談件数の増加は、決して他人事ではありません。特に不正アクセス被害の21%増という数字は、私たち一人ひとりがセキュリティ対策を見直すべき警鐘と捉えるべきです。
個人の方は、まず基本的なアンチウイルスソフト
の導入から始め、企業の方は包括的なセキュリティ体制の構築を検討してください。被害を受けてからでは遅いのです。今こそ、積極的なセキュリティ対策を実践し、大切な資産と信頼を守りましょう。