2025年10月14日、岡山県が運営する8つのホームページが不正アクセスによる改ざん被害を受けました。この事件は、公的機関のWebサイトでも狙われる現実を示しており、多くの企業や団体にとって他人事ではありません。
岡山県のWebサイト改ざん事件の詳細
今回被害を受けたのは、以下の8つのサイトです:
- 晴れの国おかやまPRサイト
- 岡山 私のみらい発見カフェ
- 公共交通利用促進キャンペーン
- こどもまんなかマナーアップ県民運動
- 企業版子育て支援ポータルサイト ハレまる。
- ももっこアプリ利用促進キャンペーン
- 晴れ恋 晴れ婚プロジェクト
- おかやま結婚応援パスポート
これらのサイトは全て民間のレンタルサーバーで運用されており、何者かが不正にアクセスしてコンテンツを改ざんした形跡が確認されています。幸い、現時点では個人情報の流出は確認されていませんが、県は安全が確認されるまで全サイトの公開を停止しています。
Webサイト改ざん攻撃の実態と手口
私がCSIRTで対応してきた案件を振り返ると、Webサイト改ざんは決して珍しい攻撃ではありません。攻撃者は主に以下の手法を使います:
1. 脆弱性の悪用
CMSやプラグインの未更新による脆弱性を狙った攻撃が最も一般的です。WordPressサイトでは、古いバージョンのプラグインが狙われるケースが頻発しています。
2. 認証情報の窃取
管理画面へのブルートフォース攻撃やフィッシング攻撃により、管理者のID・パスワードが盗まれるケースも多発しています。
3. サーバーの設定不備
FTPアカウントの管理不備やファイルのパーミッション設定ミスが原因となることもあります。
改ざん被害を受けた場合の実際の影響
過去に対応した案件では、以下のような深刻な影響が発生しました:
中小企業A社のケース
ECサイトが改ざんされ、偽の商品情報が掲載された結果、顧客からの信頼を失い売上が3ヶ月間で40%減少しました。サイトの復旧とセキュリティ強化に約200万円の費用がかかりました。
B団体のケース
会員向けサイトが改ざんされ、不正なリンクが埋め込まれました。会員がマルウェアに感染するリスクが発生し、全会員への謝罪と対応に追われ、団体の信頼回復に1年以上を要しました。
効果的な対策と防止策
基本的なセキュリティ対策
1. 定期的なセキュリティ更新
CMS、プラグイン、サーバーOSの最新版への更新は必須です。特にWordPressを使用している場合、自動更新機能を有効にすることをお勧めします。
2. 強固な認証システム
管理者パスワードの複雑化と二段階認証の導入は基本中の基本です。また、管理画面へのアクセス制限(IP制限)も効果的です。
3. 定期的なバックアップ
改ざんが発生した場合の迅速な復旧のため、自動バックアップシステムの構築は不可欠です。
プロアクティブな対策
脆弱性診断の実施
企業のWebサイトでは、専門的なWebサイト脆弱性診断サービス
を定期的に実施することが重要です。これにより、攻撃者に狙われる前に脆弱性を発見・修正できます。
セキュリティ監視体制の構築
Webサイトの変更を監視するツールの導入や、不正アクセスを検知するシステムの構築も検討すべきです。
個人ユーザーも狙われている現実
企業や団体だけでなく、個人のブログやWebサイトも攻撃の対象となっています。個人の場合、以下の対策が特に重要です:
エンドポイントセキュリティの強化
サイト管理に使用するPCには、高性能なアンチウイルスソフト
の導入が必須です。管理者のPCがマルウェアに感染すると、サイトへの不正アクセスの踏み台として利用される可能性があります。
安全な通信環境の確保
外出先からサイト管理を行う場合、公共Wi-Fiは避け、信頼できるVPN
を使用してセキュアな通信を心がけましょう。
今すぐ実施すべきチェックポイント
以下の項目を今すぐ確認してください:
- CMSとプラグインが最新版になっているか
- 管理者パスワードが十分に複雑か
- 二段階認証が設定されているか
- 最新のバックアップが取得されているか
- 不審なファイルやページが存在しないか
これらの確認で一つでも「No」があれば、すぐに対処が必要です。
まとめ:継続的な対策が被害を防ぐ
今回の岡山県の事例は、公的機関でも狙われる現実を示しています。Webサイトの改ざん攻撃は年々巧妙化しており、一度の対策では不十分です。継続的なセキュリティ対策と定期的な見直しが、あなたのWebサイトを守る最も確実な方法です。
特に企業や団体の責任者の方は、専門的な診断サービスの活用も含めて、総合的なセキュリティ対策の検討をお勧めします。被害を受けてからでは遅いのです。