こんにちは。現役でサイバーセキュリティの現場に立つフォレンジックアナリストです。今日は少し重たい話題ですが、皆さんにとって非常に重要な情報をお伝えします。
2024年度の個人情報漏えい件数が2万1007件と、過去最多を記録したというニュースが飛び込んできました。この数字を見て「また他人事か」と思う方もいるかもしれませんが、実はこれ、明日あなたに降りかかるかもしれない現実なんです。
## 個人情報漏えいの現実的な脅威とは
私がこれまで担当したフォレンジック調査の中で、特に印象に残っているケースをお話しします。ある地方の小さな税理士事務所が、ランサムウェア攻撃を受けた事件です。
従業員がメールに添付されたファイルを開いてしまい、事務所内のすべてのパソコンが暗号化されました。顧客の確定申告データ、給与計算データ、そして個人情報が数千件、ダークウェブで売買されている状況を確認したときは、本当に胸が痛みました。
この事務所は結局、データ復旧費用として数百万円を支払うことになり、顧客への損害賠償、信用失墜により廃業に追い込まれました。たった一通のメールが、30年続いた事業を終わらせてしまったのです。
## 狙われやすいのは「普通の人」
「自分は狙われるような重要な情報は持っていない」と思っていませんか?これが大きな間違いです。
サイバー犯罪者が狙うのは、むしろセキュリティ意識の低い「普通の人」です。企業のように高度なセキュリティ対策を施していない個人のパソコンやスマートフォンは、彼らにとって格好の標的なのです。
実際に私が調査した個人のケースでは:
– オンラインバンキングの不正利用で50万円を失った会社員
– SNSアカウントを乗っ取られ、友人に詐欺メールを送信された主婦
– 写真や動画を勝手に使われ、なりすまし被害に遭った大学生
こういった被害が日常的に発生しています。
## 今すぐできる基本的な対策
私がCSIRTとして現場で培った経験から、個人でも今すぐ実践できる効果的な対策をお伝えします。
### 1. 信頼できるアンチウイルスソフトの導入
まず最初に重要なのが、信頼できるアンチウイルスソフト
の導入です。無料のソフトもありますが、私の経験上、有料の製品の方が検出率と防御力が圧倒的に高いです。
実際の調査現場で、無料のアンチウイルスソフトをすり抜けてしまったマルウェアが、有料版では事前にブロックされていたというケースを何度も見てきました。
### 2. VPNを使った通信の暗号化
特に公共のWi-Fiを使用する際は、VPN
の利用が必須です。カフェや空港のフリーWi-Fiは、サイバー犯罪者にとって「宝の山」のような存在なんです。
過去に調査したケースでは、空港のフリーWi-Fiを使ってオンラインバンキングにアクセスした利用者の情報が盗まれ、後日不正送金される事件がありました。VPNを使っていれば防げた被害です。
### 3. 定期的なデータバックアップ
ランサムウェア攻撃を受けた場合、最後の砦となるのがバックアップです。クラウドサービスを利用して、重要なデータは複数の場所に保存しておきましょう。
## 企業の情報漏えいがあなたに与える影響
2万件を超える個人情報漏えい事件の多くは、実は企業側のセキュリティ不備が原因です。あなたがどんなに気をつけていても、利用しているサービスの企業が攻撃を受ければ、あなたの情報も危険にさらされます。
実際に、大手企業の情報漏えい事件の調査に参加した際、漏えいした情報が犯罪者グループによって「名簿」として売買されているのを確認しました。一度漏えいした情報は、インターネット上で永続的に流通し続けるのが現実です。
## まとめ:今すぐ行動を
サイバーセキュリティの世界では「完璧な防御は存在しない」と言われます。しかし、基本的な対策を講じることで、リスクを大幅に減らすことができます。
現役のフォレンジックアナリストとして断言します。今の時代、個人のサイバーセキュリティ対策は「あったらいいな」ではなく「必須」です。
明日、あなたが被害者にならないために、今すぐ行動を起こしてください。
## 一次情報または関連リンク
2024年度の個人情報漏えい2万1007件 過去最多に – auサービス