また企業の情報漏えい事件が発生しました。今度は株式会社メディックスが運営するセラピア淡路町店で、なんと15,210名分もの個人情報が不正アクセスによって流出した可能性が明らかになっています。
10月17日に公表されたこの事件、実は攻撃者は10月7日午後7時頃から翌日午前10時まで約15時間もの間、システムに侵入し続けていたというから驚きです。企業のセキュリティ体制に大きな問題があったことは明白ですね。
事件の詳細:15時間の長時間侵入を許した脆弱性
今回の情報流出事件の経緯を時系列で整理すると:
- 10月7日午後7時頃:セラピア淡路町店のパソコンに不正アクセス発生
- 10月8日午前10時:ネットワーク遮断を実施(約15時間後)
- 10月17日:事件を公表(発覚から9日後)
流出した可能性がある情報は、2005年7月1日から2025年10月7日までの約20年間にわたってセラピア淡路町店を利用した顧客の:
- 氏名
- 生年月日
- 住所
- 電話番号
- メールアドレス
これだけの期間の個人情報が一箇所に蓄積されていたこと自体、データ管理のリスクを物語っています。
フォレンジック専門家が見る今回の事件の問題点
私がこれまで手がけた数多くのインシデント対応の経験から言えるのは、今回のような長時間の不正アクセスを許してしまう企業には、共通する問題があるということです。
1. 監視体制の不備
15時間もの間、不正アクセスに気づかなかったということは、リアルタイムでの異常検知システムが機能していなかった可能性が高いです。通常、適切なセキュリティ監視体制があれば、数分から数時間以内に異常を検知できるはずです。
2. アクセス制御の甘さ
初診アンケートという機密性の高い顧客情報にアクセスできるシステムに対して、多要素認証や定期的なアクセス権限の見直しが行われていなかった可能性があります。
3. データ保護対策の不足
20年分もの個人情報を暗号化せずに保管していた可能性が高く、これは現在のセキュリティ基準から見ると非常に危険な状態でした。
個人ができる対策:被害を最小限に抑える方法
このような企業の情報漏えい事件は残念ながら今後も続くでしょう。個人として取れる対策をご紹介します:
個人情報の提供を最小限に
- 必要最小限の情報のみを提供
- 定期的に自分の個人情報がどこで使われているかを把握
- 不要になったサービスは速やかに退会
自分のデバイスを守る
企業から個人情報が流出した場合、その情報を使って個人のデバイスが標的になることがあります。アンチウイルスソフト
を導入して、フィッシング攻撃やマルウェアから身を守ることが重要です。
通信を暗号化する
公共Wi-Fiなどを使用する際は、VPN
を使って通信を暗号化し、追加の情報漏えいを防ぎましょう。
中小企業が今すぐ実施すべきセキュリティ対策
今回のような事件を起こさないために、中小企業が最優先で取り組むべき対策をまとめました。
1. 定期的なセキュリティ診断の実施
自社のWebサイトやシステムに脆弱性がないかを定期的にチェックすることが不可欠です。Webサイト脆弱性診断サービス
を利用すれば、専門知識がなくても適切な診断を受けることができます。
2. 従業員教育の徹底
多くのサイバー攻撃は、従業員のヒューマンエラーから始まります:
- フィッシングメールの見分け方
- 不審なリンクをクリックしない
- パスワード管理の徹底
- USBメモリの安全な使用方法
3. データ保護の強化
- 個人情報の暗号化
- アクセス権限の定期的な見直し
- 不要な個人情報の削除
- バックアップの適切な管理
インシデント発生時の適切な対応
万が一、不正アクセスが発覚した場合の対応手順も重要です:
- 即座にシステムを遮断(今回は15時間も放置されました)
- 専門機関への相談
- 被害範囲の特定
- 関係機関への報告
- 顧客への迅速な通知
まとめ:継続的なセキュリティ対策が企業の信頼を守る
今回のセラピア淡路町店の事件は、企業のセキュリティ対策の重要性を改めて浮き彫りにしました。15時間もの長時間にわたって不正アクセスを許してしまったことは、監視体制の根本的な見直しが必要であることを示しています。
個人の皆さんは、このような企業の情報漏えいから身を守るため、アンチウイルスソフト
の導入やVPN
の活用を検討してください。また、企業の方はWebサイト脆弱性診断サービス
で定期的な脆弱性診断を行い、セキュリティリスクを最小限に抑えることが重要です。
サイバーセキュリティは「やって当たり前」の時代です。今回のような事件を教訓に、適切な対策を講じていきましょう。

