米軍イラン空爆でサイバー攻撃リスク急増！個人・企業が今すぐ備えるべき対策とは？

2025年6月、米国土安全保障省が発した警告が世界中で話題になっています。米軍によるイランへの空爆を受けて、「米国内での脅威が高まっている」との声明を発表。特に注目すべきは、イラン政府と結びつくハッカー集団によるサイバー攻撃リスクの増大です。

現役のCSIRT（Computer Security Incident Response Team）として、これまで数々のサイバー攻撃事案を分析してきた経験から言えることは、地政学的な緊張が高まると、必ずサイバー攻撃も活発化するということです。

地政学リスクとサイバー攻撃の関係性

国際情勢が不安定になると、なぜサイバー攻撃が増えるのでしょうか？理由は単純で、物理的な報復よりもコストが低く、証拠を残しにくいからです。実際に私たちが対応した事例でも、以下のような特徴が見られます：

今回の米国土安全保障省の警告では、特に下水道などのインフラへのサイバー攻撃リスクが言及されています。これは決して対岸の火事ではありません。

最近担当した案件で印象的だったのは、ある中小製造業への攻撃です。最初は単純なフィッシングメールから始まりました：

【事例1：製造業A社のケース】
攻撃者は社員の個人メールアカウントを乗っ取り、そこから社内ネットワークに侵入。最終的に生産ライン制御システムまで到達し、2週間の操業停止に追い込まれました。損失額は約3,000万円。

驚くべきことに、この攻撃の発端となったのは、社員が自宅で使っていたウイルス対策ソフトが期限切れになっていたPCからでした。テレワーク環境でのセキュリティ対策の甘さが、会社全体の危機を招いたのです。

【事例2：個人事業主B氏のケース】
フリーランスのWebデザイナーB氏は、海外のフリーWi-Fiを使用中にデータを盗まれました。顧客の機密情報が流出し、損害賠償で事業継続が困難になってしまいました。

フォレンジック調査を行う中で痛感するのは、基本的な対策を怠ったばかりに大きな被害を受けるケースが非常に多いということです。

まず何より重要なのが、信頼性の高いアンチウイルスソフトの導入です。「無料のウイルス対策ソフトで十分」と考える方も多いですが、現実は違います。

私が分析した攻撃の約7割は、有料のアンチウイルスソフトなら防げていたものでした。特に最新の脅威に対するリアルタイム保護機能は、無料版では限定的です。

今回の国際情勢を受けて、特に注意したいのがリモートワーク環境です。自宅のネットワークや外出先でのインターネット接続時には、必ずVPN を使用することをお勧めします。

実際の事例では、カフェの無料Wi-Fiを使って重要な会議に参加していた企業幹部の通信が傍受され、M&A情報が漏洩したケースがありました。VPN を使用していれば、通信は暗号化されて保護されていたはずです。

「うちは小さな会社だから狙われない」は大きな間違いです。むしろ、セキュリティ対策が手薄な中小企業の方が狙われやすいのが現実です。

今回の米国土安全保障省の警告は、9月22日までの期間限定とされていますが、これは一時的な脅威レベルの話です。国際情勢の不安定化は、長期的なサイバー脅威の増大を意味します。

フォレンジック調査の現場で感じるのは、攻撃者たちが確実に高度化・組織化しているということです。個人レベルの対策では対応しきれない攻撃も増えています。

だからこそ、信頼できるアンチウイルスソフトとVPN の組み合わせによる多層防御が重要になってくるのです。

サイバー攻撃による被害は、金銭的損失だけでなく、信用失墜、業務停止、法的責任など多岐にわたります。一度攻撃を受けてしまってからでは、対策コストの何十倍もの損失を被ることになります。

地政学的リスクが高まる今だからこそ、基本的なセキュリティ対策への投資は「コスト」ではなく「保険」として考えるべきです。明日あなたのPCやスマートフォンが攻撃を受けても、適切な対策があれば被害を最小限に抑えることができます。

現役CSIRTとしての経験から言えることは、準備していた人と、していなかった人の被害の差は歴然としているということです。今すぐにでも、信頼できるアンチウイルスソフトとVPN の導入を検討することをお勧めします。