警視庁内部からの情報漏洩事件が発覚
2025年11月12日、警視庁暴力団対策課の神保大輔警部補(43)が地方公務員法違反の疑いで逮捕されました。この事件は、組織内部からの情報漏洩という深刻な問題を浮き彫りにしています。
神保容疑者は4月から5月にかけて、違法スカウトグループ「ナチュラル」の関係者に捜査情報を漏らしたとされており、さらに関係先からは現金数百万円が発見されています。3月まで同グループの捜査を担当していた立場を悪用した、極めて悪質な犯行です。
内部犯行の恐ろしさ
私がフォレンジック調査で扱った事例の中でも、内部犯行は最も対策が困難で、被害が深刻化しやすいケースです。外部からの攻撃と違い、正当なアクセス権限を持つ人物による犯行のため、発見が遅れることが多いのです。
今回の事件でも、捜査担当者という立場を利用して情報を持ち出したため、通常のセキュリティ対策では防ぐことが困難でした。
個人・企業が直面する内部脅威のリスク
この事件は警察組織で起きましたが、一般企業や個人でも同様のリスクは存在します。
企業における内部脅威の実態
私が調査した中小企業のケースでは、以下のような被害が実際に発生しています:
- 顧客情報の持ち出し:退職予定の営業担当者が顧客リストを競合他社に売却
- 機密技術の漏洩:開発部門の契約社員が設計図面を外部に流出
- 金銭の横領:経理担当者による長期間にわたる資金流用
これらの事件に共通するのは、被害の発覚までに長期間を要し、その間に被害が拡大していることです。
個人レベルでの対策も重要
個人の方も他人事ではありません。家庭内のWi-Fiネットワークに不正アクセスされた事例や、信頼していた知人によるクレジットカード情報の悪用など、身近な場所からの情報漏洩リスクは確実に存在します。
効果的な内部脅威対策とは
技術的な対策
内部犯行を防ぐには、以下のような多層防御が必要です:
- アクセス権限の適切な管理:必要最小限の権限のみを付与
- ログの監視と分析:異常なアクセスパターンの早期発見
- データ暗号化:情報が漏洩しても内容を保護
- 定期的な権限見直し:人事異動や退職に合わせた迅速な対応
個人の方には、アンチウイルスソフト
の導入をお勧めします。これにより、デバイス内の重要なファイルを暗号化し、万が一の情報漏洩リスクを大幅に軽減できます。
人的な対策
技術だけでは限界があります。組織文化や人事制度の改善も重要です:
- 定期的な教育研修:情報セキュリティ意識の向上
- 内部通報制度:不正行為の早期発見体制
- 適切な処遇:従業員満足度の向上による不正動機の削減
インターネット接続時の追加セキュリティ
今回の事件でも、情報のやり取りにはインターネット経由での通信が使われた可能性が高いです。
VPN
の利用により、通信内容を暗号化し、第三者による盗聴や改ざんを防ぐことができます。特に機密性の高い情報を扱う際には必須の対策といえるでしょう。
Webサイトからの情報漏洩対策
企業のWebサイトも攻撃者の標的になりやすく、そこから内部への侵入を許してしまうケースが増えています。Webサイト脆弱性診断サービス
を定期的に実施することで、Webサイトの脆弱性を事前に発見し、攻撃者の侵入経路を塞ぐことができます。
今回の事件から学ぶべき教訓
信頼の裏切りがもたらす深刻な影響
神保容疑者のような立場にある人物による情報漏洩は、組織全体の信頼を失墜させます。警察という公的機関であってもこのような事件が起きるということは、どの組織でも同様のリスクがあることを示しています。
金銭的動機の危険性
関係先から数百万円が発見されたことからも分かるように、金銭的な見返りが不正行為の大きな動機となっています。組織運営においては、従業員の経済的な困窮状況にも注意を払う必要があります。
早期発見の重要性
今回の事件では、4月から5月にかけての犯行が11月になって発覚しました。この間にどれほどの情報が漏洩し、どの程度の被害が生じたかは計り知れません。
継続的な監視体制の構築により、異常な行動パターンを早期に発見することが被害最小化の鍵となります。
まとめ:包括的なセキュリティ対策の必要性
今回の警視庁警部補による情報漏洩事件は、内部脅威の深刻さを改めて浮き彫りにしました。
どれほど厳格な組織であっても、内部からの裏切りを完全に防ぐことは困難です。だからこそ、技術的対策と人的対策を組み合わせた多層防御が不可欠なのです。
個人の方も企業の方も、この機会にセキュリティ対策を見直し、信頼できるセキュリティソリューションの導入を検討されることをお勧めします。

