最近、企業の情報漏洩事件がニュースを賑わせることが多くなっていますが、実は水面下でもっと深刻な問題が進行していることをご存知でしょうか?
調査会社のガートナーが発表した最新調査によると、なんと過半数以上の企業が「これまで以上に情報漏洩リスクが高まっている」と感じているそうです。特にAIや生成AI技術の普及に伴い、新たなセキュリティリスクが急速に拡大しているのが現状です。
なぜ今、情報漏洩リスクが急激に高まっているのか?
フォレンジック調査の現場で多く見かけるのが、従業員の「セキュリティは専門部署の仕事」という意識の問題です。今回の調査でも、なんと6割を超える従業員が「情報漏洩対策はセキュリティ部門の責任」と考えており、自分自身のセキュリティ責任を自覚していないことが判明しました。
実際に私たちCSIRTが対応した事例を見ると、以下のようなケースが増えています:
- 出向者による情報持ち出し:転職や出向の際に、無意識に機密データを個人デバイスにコピーしてしまう
- AIツールへの安易な情報入力:ChatGPTなどの生成AIに顧客データや内部資料を貼り付けて処理させる
- 退職者のアカウント管理不備:退職後もクラウドサービスへのアクセス権限が残っているケース
中小企業でも起こりうる具体的な被害事例
「うちは大企業じゃないから大丈夫」と思っている中小企業の経営者の方も多いのですが、実はそれが大きな間違いです。
先日対応した中小企業の事例では、営業担当者が顧客リストをAIツールに入力して営業提案を作成していたところ、そのデータが第三者に漏洩してしまいました。結果として:
- 顧客からの信頼失墜
- 取引停止
- 個人情報保護法違反による行政処分
- 損害賠償請求
この事例の損害総額は数千万円に上り、会社存続の危機に直面しました。
個人でも無関係ではない!家庭でのセキュリティ対策
企業での情報漏洩リスクが高まる中、個人のセキュリティ対策も見直しが必要です。特に在宅勤務が一般化した今、家庭のネットワーク環境から企業データが漏洩するリスクも高まっています。
個人でできる基本的な対策として:
1. 信頼できるアンチウイルスソフト の導入
マルウェアによる情報窃取を防ぐため、高品質なアンチウイルスソフト
は必須です。無料のセキュリティソフトでは検出できない新しい脅威も多く、有料版のアンチウイルスソフト
なら最新の脅威にも対応できます。
2. VPN でネットワーク通信を保護
公共Wi-Fiでの作業や、自宅からの企業システムアクセス時にはVPN
が重要です。通信内容を暗号化することで、ネットワーク経由での情報漏洩を防げます。
今後の対策で重要なポイント
ガートナーの調査結果を踏まえ、企業・個人問わず以下の点を意識することが重要です:
組織レベルでの対策
- セキュリティリーダーとビジネス部門の連携強化
- データ活用とセキュリティ保護の意識を同時に醸成
- 従業員一人ひとりのセキュリティ当事者意識の向上
個人レベルでの対策
- 信頼できるアンチウイルスソフト
の導入・更新
- VPN
を活用した通信の暗号化
- AIツールへの機密情報入力の回避
- 定期的なセキュリティ教育の受講
まとめ:今すぐ始められるセキュリティ対策
情報漏洩のリスクは年々高まっており、企業・個人を問わず対策が急務となっています。特にAI技術の普及により、従来とは異なる新しいリスクも生まれています。
「自分には関係ない」「うちの会社は大丈夫」という考えは非常に危険です。実際のフォレンジック調査の現場では、「まさか自分たちが」と言う企業ばかりです。
幸い、個人レベルでできる対策も多くあります。まずは信頼できるアンチウイルスソフト
とVPN
を導入することから始めてみませんか?セキュリティは「転ばぬ先の杖」です。被害が発生してからでは遅いのです。
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