DDoS攻撃が5年ぶりに「セキュリティ10大脅威」に復活
2024年末、金融機関や公共機関を狙った大規模なDDoS攻撃が相次ぎ発生し、深刻な業務・サービス停止が発生しました。この影響を受けて、DDoS攻撃は5年ぶりにIPAの「情報セキュリティ10大脅威 2025」にランクインしています。
企業だけでなく、個人のウェブサイトやオンラインサービスも標的になる可能性があるため、しっかりとした対策が必要です。
DDoS攻撃とは何か?
DDoS(Distributed Denial of Service)攻撃とは、複数のコンピューターから一斉に大量のアクセスを送りつけることで、サーバーやネットワークを過負荷状態にして、正常なサービス提供を妨害する攻撃です。
想像してみてください。人気レストランに突然数百人の客が一斉に押し寄せたら、お店は混乱してしまいますよね。DDoS攻撃も同じような仕組みで、ウェブサイトやオンラインサービスを「満員」状態にして使えなくしてしまうのです。
多様化するDDoS攻撃の手法
現在のDDoS攻撃は、昔よりもはるかに巧妙になっています。主な攻撃手法には以下があります:
- SYNフラッド攻撃:接続要求を大量に送り、サーバーのリソースを枯渇させる
- アンプ/リフレクション攻撃:第三者のサーバーを踏み台にして攻撃を増幅
- DNS水責め攻撃:DNSサーバーに大量の問い合わせを送信
- HTTPレイヤー7攻撃:正常なHTTPリクエストに偽装した攻撃
個人でもできるDDoS攻撃対策
1. 信頼性の高いホスティングサービスを選ぶ
個人でウェブサイトを運営している場合は、DDoS攻撃対策機能を持つホスティングサービスを選びましょう。多くのクラウドサービスでは、基本的な攻撃を自動的に検出・防御してくれます。
2. CDN(Content Delivery Network)の活用
CDNサービスを利用することで、トラフィックを分散し、攻撃の影響を軽減できます。CloudflareやAWSのCloudFrontなどが代表的なサービスです。
3. アンチウイルスソフトによる総合的な防御
個人のパソコンがボットネットの一部として悪用されることを防ぐため、アンチウイルスソフト
の導入は必須です。最新の脅威情報を常に更新し、不審な通信を検出・遮断してくれます。
4. VPNで通信経路を保護
VPN
を使用することで、あなたの実際のIPアドレスを隠し、攻撃の標的になりにくくできます。特に、公共Wi-Fiを利用する際は、VPN接続が攻撃者からの直接的な攻撃を防ぐ重要な防御線となります。
実際の被害事例から学ぶ
ケース1:中小企業のECサイト
とある中小企業のECサイトが、競合他社からの嫌がらせと思われるDDoS攻撃を受けました。攻撃は金曜日の夜に開始され、週末の売上げ機会を完全に奪われました。
この企業は事前に対策を講じていなかったため、攻撃が止むまで約3日間、サイトにアクセスできない状態が続きました。失われた売上は推定で300万円に上ります。
ケース2:個人ブロガーの被害
人気ブログを運営している個人ブロガーが、記事の内容に反感を持った人物からDDoS攻撃を受けました。攻撃は小規模でしたが、格安のレンタルサーバーを使用していたため、サーバーが完全にダウンしてしまいました。
この事例では、攻撃者の特定は困難でしたが、ブロガーはより堅牢なホスティングサービスに移行することで、同様の攻撃を防ぐことができました。
暗号化通信の落とし穴
最近の攻撃では、SSL/TLS暗号化通信を悪用するケースが増えています。暗号化は本来セキュリティを強化するものですが、攻撃者はこの「見えない通信」を利用して、検出を回避しようとします。
個人レベルでは、以下の点に注意が必要です:
- 不審なHTTPS接続要求の監視
- 異常な通信量の早期発見
- セキュリティソフトの行動監視機能の活用
今すぐできる対策チェックリスト
□ 使用しているホスティングサービスのDDoS対策機能を確認
□ アンチウイルスソフト
を最新バージョンに更新
□ VPN
の導入を検討
□ 定期的なバックアップの実施
□ 異常なアクセスログの監視体制構築
□ 緊急時の連絡先リストの作成
まとめ
DDoS攻撃は企業だけでなく、個人のウェブサイトやオンラインサービスにとっても深刻な脅威です。完全に防ぐことは困難ですが、適切な対策を講じることで被害を最小限に抑えることができます。
特に、アンチウイルスソフト
とVPN
を組み合わせることで、多層的な防御体制を構築できます。これらのツールは、DDoS攻撃だけでなく、様々なサイバー攻撃から身を守る重要な防御手段となります。
脅威は日々進化していますが、基本的な対策をしっかりと実施することで、安全なインターネット利用を続けることができるでしょう。