こんにちは。現役でCSIRT(Computer Security Incident Response Team)として活動しているフォレンジックアナリストです。
つい先日、フォーティネットから衝撃的なレポートが発表されました。2025年のグローバル脅威レポートによると、ダークネット上でのCaaS(Crime as a Service:サービス型サイバー犯罪)取引が急激に拡大しているんです。
正直、現場で対応していても実感していましたが、ここまで数値で明確に示されると背筋が寒くなります。あなたの大切な情報が、今この瞬間にもダークネットで売買されている可能性があるからです。
ダークネットで何が起きているのか?
FortiGuard Labsの調査によると、現在ダークネットでは以下のような情報が高値で取引されています:
- 認証情報(ログインID・パスワード)
- エクスプロイト(脆弱性攻撃コード)
- アクセス情報(企業ネットワークへの侵入経路)
私が実際に対応した事例をお話しします。昨年、某中小企業でランサムウェア攻撃が発生したのですが、調査の結果、従業員の個人メールアカウントが侵害され、そこから会社のシステムに侵入されていました。
その従業員のメールアドレスとパスワードは、なんとダークネットで50ドル程度で売買されていたんです。たった50ドルで、その会社は数百万円の被害を受けることになりました。
CaaS(Crime as a Service)の恐ろしい実態
CaaSというのは、サイバー犯罪を「サービス」として提供する仕組みです。簡単に言うと、サイバー攻撃のノウハウがない人でも、お金さえ払えば高度な攻撃が可能になってしまうんです。
例えば:
- 「月額100ドルでランサムウェア攻撃ツールを提供」
- 「成功報酬型でフィッシングサイト構築代行」
- 「盗んだ情報の換金サポート付きハッキングサービス」
これまでサイバー攻撃は高度な技術を持つ一部の犯罪者による犯行でしたが、今や誰でもサイバー犯罪者になれる時代になってしまっています。
個人が狙われる具体的なケース
「自分は大企業じゃないから大丈夫」なんて思っていませんか?実は個人こそが最も狙われやすいターゲットなんです。
実際にあった被害事例
事例1:パスワード使い回しによる連鎖被害
30代男性のケースです。古いゲームサイトから流出した情報を使って、銀行口座、クレジットカード、仮想通貨取引所のアカウントが次々と侵害されました。被害総額は約300万円。
事例2:偽Wi-Fiによる情報窃取
カフェの偽Wi-Fiに接続した女性が、ネットバンキングの情報を盗まれました。犯人は盗んだ情報をダークネットで販売し、さらに別の犯罪者がその情報を使って不正送金を実行。
事例3:SNSアカウント乗っ取りからの詐欺
乗っ取られたInstagramアカウントが友人に偽の投資話を持ちかけ、複数の被害者を出した事例もあります。
今すぐできる対策とは
フォレンジック調査を通じて数多くの事件を見てきた経験から、効果的な対策をお伝えします。
1. 信頼できるアンチウイルスソフト の導入
多くの被害事例で、最初の侵入経路はメールやウェブサイトからのマルウェア感染でした。品質の高いアンチウイルスソフト
は、これらの脅威をリアルタイムでブロックします。
私がおすすめするのは、以下の機能を備えた製品です:
- リアルタイムスキャン機能
- フィッシングサイト検知
- ランサムウェア対策
- 定期的な自動アップデート
2. VPN でネット通信を保護
特に公共Wi-Fiを使う機会が多い方は、VPN
が必須です。先ほどの偽Wi-Fi事例のような被害を防ぐことができます。
VPN
を選ぶ際のポイント:
- ログを保存しないノーログポリシー
- 強力な暗号化(AES-256以上)
- キルスイッチ機能
- 複数デバイス対応
3. パスワード管理の徹底
ダークネットで最も取引されているのが認証情報です。以下を実践してください:
- 各サービスで異なるパスワードを使用
- 12文字以上の複雑なパスワード
- 二段階認証の有効化
- パスワード管理ツールの活用
企業の方へ:従業員の個人アカウントも要注意
私が対応した企業インシデントの約7割で、従業員の個人アカウントが攻撃の起点になっていました。
企業としてできる対策:
- 従業員へのセキュリティ教育
- 個人デバイスのセキュリティガイドライン策定
- VPN接続の義務化
- 定期的なセキュリティ監査
まとめ:今すぐ行動を
ダークネットでのCaaS取引急拡大は、もはや「将来の脅威」ではありません。今、この瞬間の現実的な脅威です。
フォレンジック調査をしていて痛感するのは、「まさか自分が」と思っている人ほど被害に遭いやすいということです。被害に遭ってからでは遅いんです。
最低限、以下は今日から実践してください:
- 信頼できるアンチウイルスソフト
の導入
- 公共Wi-Fi利用時のVPN
使用
- パスワードの見直しと二段階認証設定
あなたの大切な情報を守るのは、結局のところあなた自身です。サイバー犯罪者たちが24時間365日狙っている中で、私たちも同じように24時間365日、自分を守る必要があります。
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