はじめに
Google Chromeユーザーの皆さん、新たなセキュリティ脅威が発見されました。今回は、従来の攻撃手法とは異なる「スリーパー攻撃」について、その実態と対策方法を詳しく解説します。
本記事はForbes Japanの記事を参考に、セキュリティ専門家の視点から分かりやすく解説したものです。
Chrome拡張機能を狙った新たな攻撃手法が発覚
「スリーパー攻撃」とは何か?
最近、イスラエルのセキュリティ企業LayerX Securityが、極めて巧妙な攻撃手法を発見しました。この攻撃は「スリーパー(潜伏者)攻撃」と呼ばれ、以下の特徴があります:
- 正当な拡張機能を装って潜伏:音量調整などの便利な機能を提供しながら、裏で悪意のあるコードを仕込んでいる
- 攻撃者の号令を待機:即座に攻撃を開始するのではなく、攻撃者からの指令を待つ
- 検知回避技術:従来のセキュリティソフトでは発見が困難
なぜこの攻撃が危険なのか?
従来のボットネット攻撃と比較して、ブラウザ拡張機能を悪用した攻撃には以下のメリット(攻撃者視点)があります:
- 構築の容易さ:IoT機器を使ったボットネットより簡単に作成可能
- 重要データへの直接アクセス:
- 保存されたパスワード
- クッキー情報
- 閲覧履歴
- 個人識別情報
削除すべき危険な拡張機能一覧
LayerX Securityが特定した危険な拡張機能は以下の通りです:
即座に削除が必要な拡張機能
- Sound Booster
- ID:
pmilcmjbofinpnbnpanpdadijibcgifc
- ID:
- Examine source code of Volume Max – Ultimate Sound Booster
- ID:
mgbhdehiapbjamfgekfpebmhmnmcmemg
- ダウンロード数:100万件超
- ID:
- ボリュームマスター:サウンドをマスターする
- 英語名:Volume Master: Master Your Sound
- ID:
eoejmjkddfbhhnbmklhccnppogeaeeah
- ボリュームブースター:究極のサウンドエンハンサー
- 英語名:Volume Booster: Ultimate Sound Enhancer
- ID:
dlcgileladmbfijjmnleehhoebpggpjl
Chrome拡張機能の安全な削除方法
標準的な削除手順
- Chromeの設定メニューを開く
- 右上の三点メニュー(︙)をクリック
- または、アドレスバーに
chrome://extensions
と入力
- 拡張機能管理画面へ移動
- メニューから「拡張機能」を選択
- 「拡張機能を管理」をクリック
- 対象拡張機能を削除
- 該当する拡張機能の「削除」ボタンをクリック
- 確認画面で再度「削除」をクリック
完全削除のための手順(上級者向け)
より確実に削除したい場合は、以下の手順で直接ファイルを削除できます:
Windows 11/10の場合:
C:\Users\<ユーザー名>\AppData\Local\Google\Chrome\User Data\Default\Extensions
macOSの場合:
/Users/<ユーザー名>/Library/Application Support/Google/Chrome/Default/Extensions/
該当するID名のフォルダを見つけて削除し、Chromeを再起動してください。
拡張機能を安全に利用するための対策
インストール前のチェックポイント
- 開発者の信頼性確認
- 開発者名や企業の実在性
- 過去の実績や評判
- レビューと評価の精査
- ユーザーレビューの内容
- 不自然に高い評価の場合は要注意
- 権限要求の確認
- 必要以上の権限を求めていないか
- 機能に関係ない権限要求は危険信号
定期的なセキュリティチェック
- 月1回の拡張機能見直し:不要な拡張機能の削除
- セキュリティニュースの確認:新たな脅威情報のチェック
- ブラウザの更新:最新のセキュリティパッチの適用
まとめ:ブラウザセキュリティの重要性
今回発見されたスリーパー攻撃は、従来の攻撃手法より巧妙で発見が困難です。しかし、適切な知識と対策により、被害を防ぐことは可能です。
重要なポイント
- 不審な拡張機能は即座に削除
- 拡張機能のインストールは慎重に
- 定期的なセキュリティチェックの実施
- 最新の脅威情報への注意
ブラウザは現代のデジタルライフの中心的存在です。安全なブラウジング環境を維持するため、今回紹介した対策を実践し、常に最新のセキュリティ情報にアンテナを張っておきましょう。
この記事の情報は2025年6月時点のものです。セキュリティ脅威は日々進化するため、最新の情報を常に確認することをお勧めします。
参考情報源:
- Forbes Japan: Chrome拡張機能に潜む新たな脅威について
- LayerX Security: セキュリティ研究報告